久野和洋 展
会 期:2024/06/24(月) ~ 07/06(土)
休廊日:会期中無休
時 間:11:30〜19:30(最終日17:00)
<企画協力 名古屋画廊>
片隅にある世界の永遠―久野和洋の絵
久野さんは、いつもひとりで立っていた。
そうして、通り過ぎてしまいそうな何の変哲もないこの世の片隅にある風景や
静物に向き合い、時間や空間の変化というものに捉われずに、
ひたすら感じた(観じた)対象に自己を没入させようとしていた。
だからなのか、絵のなかに人の情感をあおるようなものを安易に描きいれるこ
とはなかった。久野さんの絵のなかに一片の雲もないのは、そのせいだ。
ひたすら、対象に溶け込み胸の内に沸き起こるものに従って絵画することで、
風景を単なるローカルなものに終わらせるのではなく、人と自然との長い歴史
が息づく場所を永遠なものにしようとしたのだ。
そのために、久野さんは古典名画の重厚で透明なメチエを手に入れようと
ルーブルに通った。
風景や静物にそのものが持つ存在の本質を語らせるような久野さんの表現は、
だから一見透き通って滑らかに見えるものでも、よく見れば執拗に刻み込む
ような筆致のうえに成り立っている。
久野さんにとって描くことは、本来の自分を探す旅だったように思う。
遺された絵のなかに、確かに久野さんは今もひとりで立ち続けている。
(野地耕一郎/泉屋博古館東京 館長)
Youtube
パノラマ画像
http://art-museum.main.jp/jam_live2024/ushio_141/panorama/index.html